ゴム動力 プラ子の日記 〜 第118回め 〜
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11月4日(金) いざ!九州へ! 日付は変わり、10月22日(土曜日)の朝10時40分。重い荷物をまた肩にかけ、私は九州大陸に初上陸を果たした。 湯煙があちこちに上がっている。あぁ、温泉町。別府だ別府だ。 船から降りたと同時に階段の下で「駅に行くけど乗るの?乗らないの?」とシャトルバスのおじさんにせかされた。すでに乗っている人が全員こっちを見ている。 「えっと、う〜んと。あ、いいです。乗りません。」 私はまだ頭が目覚めて居ないのだ。いきなり決断を迫らないでくれよ。 雨上がりの別府は寒かった。南に来たから暖かいのかと思っていたけれど、すごく冷たい風が吹いていた。震えながらターミナルに入り地図を見て行きたかった町営温泉を探したら駅の目の前。あ〜あ、シャトルバスのおじさんがせっかく声を掛けてくれたのにゴメンよ。これは船の中でちゃんと計画を立てなかった罰なんだな。そう納得してタクシーに乗った。罰金は1600円だった。 駅に着いて、まず大荷物をロッカーに入れ、身軽になったので観光バスのルートなんかを眺めていると、知らないおじさんが近づいてきた。 ちょっと警戒したが、よく見たら観光タクシーさんだった。その後、私は華麗なる営業トークにより自分の無計画さを悟るのだ。 私はその日の18時半に福岡の天神に居なくてはいけない。大事な宴会があるのだ。(大事な宴会っていったい・・・)別府から福岡までは特急ソニックに乗って2時間。ホテルチェックインを済ませてから宴会に行くとすれば、15時過ぎのソニックに乗るのが望ましい。そうなると別府滞在は正味4時間程度。その間に私は(二度と来れないかもしれない)別府を多少は観光したい。ご飯も食べたい。もちろん温泉だって入りたい。 できれば由布院(車で30分程度の距離)にまで足を伸ばしたい。そんなことができるのは・・・ 「観光タクシーだけでしょ〜」 でも、完全に予算オーバーだ。一人で乗るのだから。 そこらにいる外人観光客を引きずり込んで割り勘を強要したいぐらいだったが、それには英語力が不足だし。 結局私は適当なカモ(?)を見つけられないまま、ひとりで観光タクシーに乗ることにした。二度と来れないかもしれないんだから・・・いいんだ、これでいいんだ・・・。 それは偶然にもロンドンタクシーだった。懐かしい。車内は天井も高く、一人で乗るには本当にもったいない空間だった。 予算について腹をくくったら、もうご機嫌♪運転席との距離が遠く、運転手さんは口を開くたびに若干後ろを見るので脇見運転になるのが気になったが、わがまま観光コース、スタート! まず、回転寿司で腹ごしらえ。 ミ(ノ_ _)ノ=3 ドテッ!! 優しい大将とおしゃべりしながら関鯖、関鰺のお寿司をつまみ、次は地獄巡り、そして湯ノ花を作る小屋を見学して由布院へ。
おじさんはさすがにプロ。移動にもメリハリがあった。取るべき場所でちゃんと写真も撮ってくれた。昨日の夜からだれとも口を利いていなかった私は運転手さんとしゃべり続けた。 湯ノ花を作る小屋は山の中腹にあり、その奥には露天風呂があるという。本当はそこで温泉を堪能する話になっていたのだけれど、悪天候と寒さで人っ子一人居ないそんな山奥で一人露天風呂に入るのがちょっと怖くて。しかも寒くて寒くて服を脱ぐ気も起こらず、結局、湯ノ花を手の甲にこすりつけるだけで別府温泉は終わってしまった。 足湯対策のラフな格好は寒いだけだった。なんともはや。 あとで戻ったら別府駅の近くの町営温泉に入ろう!と心に誓った。(のだったが・・・)
観光タクシーの常識、おじさんにもきっとノルマというかそれなりの報酬があるのだろう。湯ノ花のお店で熱心に勧められた温泉ローションなどを買った。実演してくれた売り子のおばさんの肌はつるつるぴかぴかだったから、ダマされた気はしない。家族へのお土産も全部そこで買ってそのまま宅配にした。6人乗れる車に一人だけ乗せてきたおじさんの顔を立てるためだ。私は優しい・・・! が、このままお金を使い続けるわけにはいかない。おじさんには「ここでお土産全部買ったからもう他では買わないよ」と宣言をした。ニッコリと。 美しく煙った由布岳を見上げながら丘を超え、着いた由布院は狭い道ばかり。人をかき分けるように進む。ロンドンタクシーは古い車両なので、エンジンの音が大きい。注目の的だった。 「これに乗ってると芸能人じゃないかって思われますよ。実際良く乗せますからね」 「あらら!普通のおばさんが乗ってたら、覗いた方もがっかりですよね〜 なんか悪いなぁ。(笑)」 「微妙にスモークガラスだから、お客さんなら友近ってことでいけるんじゃないですか」 「と、友近ですか。。。」
狭い道沿いは完全に観光化されていて、一見古そうな店もじつは全て新しい。若い人受けしそうな町並みになっていた。
由布院駅のポスター 待合所はちょっとした美術館になっている。 赤、緑、黄色のカラフルな列車 模様が無いのがまた素敵 それでも街のはずれの小川の水が温かかったり、古い由緒正しい料亭の回りが素敵だったり、町内の人だけが入れる温泉が長閑な佇まいを見せていて、ここは2泊ぐらいはするべき所だな、と思った。
金の鱗のように見える水面 金鱗池 町内専用の温泉は男女別 渋すぎる一般用温泉は混浴。がっかり。 この木の向こうは由緒正しき高級料亭
街を抜けて高台に移動するとそこにはダイアナ妃の生家にあったステンドグラスのある個人経営の博物館があるとのこと。 それはオモシロソウだと寄ることにした。こういうところが観光タクシーの融通の利くところだ。行ってみてビックリしたのはそのステンドグラスの美しさだけではなかった。なんと世界の有名なビンテージバイクがずらりと並んでいたのだ。それが貴重な岩下コレクションだということはその後の宴会で知るわけだが。
博物館の入り口には「バイク親父」のグループが。かっこいいぞ。親父さんたちは停めてあったロンドンタクシーをじろじろみて、私はその親父さんたちのバイクをじろじろみて、なんとなく会話もない微妙な緊張感が妙に面白かった。一言どちらかが発したら結構楽しい会話になっただろうに。
結局、最後に別府駅に戻ったころにはもう特急に乗る時間。ついついバイクで時間取りすぎた。2本遅らせて町営温泉に入るかどうか、迷ったけれど、入浴が理由で初対面の人も多い宴会に遅れるのはどうかと思い、温泉を諦めた。考えてみたらのんびり船で来たから温泉に入る時間が無くなったんだな。フッ・・・ 二度と来なれないかもと今回は時間もタクシー代も大奮発したのに、結局、また来たいよ〜!という強い願望が芽生えてしまった。旅とはそういうものなのだろうか。 わずか半日程度で堪能できるはずはないのだ。まぁ、それはどこでも同じだろう。・・・別府に由布院と来て温泉に全く入ってもいない、これはさすがに心残りである。マヌケですらある。ぜったいまた来るしかないな。・・・こうして人はだんだん貪欲になっていくんだね、きっと。(実感) 「待っててね、別府さん、由布院さん!きっとまた来るよ〜〜〜!ぅわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」 タクシーのおじさんとお別れをして、ロッカーから大荷物を引っ張り出し、凍えるほど寒いホームから未来型の超カッコイイ特急ソニックに乗った。 夕暮れの福岡、博多に着き、トボトボ、ホテルまで歩いた。博多って思っていたよりずっと都会なんだなぁ。博多市ってないのか。福岡市博多区なのか。区なのにずいぶん有名だなぁ。。。。しかし荷物が重いと貧乏な気分になるのはなぜだろう。(駅からホテルまでのタクシーをケチったせいだ。理由ははっきりしているんだ。2時間ちょっと前まではお抱えロンドンタクシーで良い気分だったんだ、ギャップは激しい。) 前日の大阪ではまだ顔を上げて歩いていた私も、船旅後の観光後の泡立ち後、この時間になると知らぬ間に下を向いていたらしい。ホテルのベルボーイが道まで素っ飛んできてその重い荷物を持ってくれるまで、ホテルの玄関の場所すら分からない状態だった。 そして、夜はまだ、とんでもなく長かったのだ。 以下次号 (あぁ、いつになったら始まるのだ、九州AFVのお話はっ!) |
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